おいにー

たとえば。
混んだ電車の中で向こうむきの女の人から
ほのかにスズランの香りがするとして。
向こうむきだから顔はわかんないけど、
たぶん清楚な美人を勝手に想像する。ぼくはする。
同じ状況でこれが安っぽーいニオイをムンムンにまき散らしてたら
ブスめ、ババアめ…、ということになる。ぼくはなる。
なにも女性のことをとやかく言いたいんじゃなくて。
書き方一つとってもそうなんだけど、この「香り」「ニオイ」
(「におい」ってのともまたちがう)って、
勝手な想像が働くからややこしい。
ここんとこずっと気になっていたのが、自分の部屋でいい香りがする。
芳香剤なんておいてないんだけど、する。
今日帰りマツキヨ行って、たまたま「トイレの消臭元」の
『スズランの香り』っての嗅いだら、ああこれに近いってかんじ。
なんなんだろ?部屋の中に思い当たる節がない。
で、家に向かってたら出かけてたらしい居候と出くわして一緒に部屋に戻った。
玄関先でヤツがモタモタとブーツを脱いだとたん…
例の『スズランの香り』が立ちこめた!


………………。


えええーっと思ったね。
なんていうのか、「足」ってフツー臭いといわれるもんで、
これは「ニオイ」の部類で不快、ってかオエェェなはずなんだけど。
まいった。ヤツの足のニオイは『スズランの香り』。
足に鼻くっつけて嗅いだ訳じゃないんだけど、たぶん。
脱いだソックスにもスズランが香ってるから、たぶん。
もう電車の中の妄想は悪夢になる。