お世話になります

電話が苦手。かけるのも受けるのも。
携帯が広く普及して、普及したもんで
ぼくも持つようになってしまったけれど、
正直、まだ慣れない。
最近はいつなんどきでも連絡がつくと思って
しょっぱなに「今大丈夫ですか?」と尋ねれば
何でもOKだと思っているフシがあるが
あれも困る。
タイミングは悪いもので、電車で移動中に
必ずといっていいほど携帯が鳴る。
鳴っちゃうから出ざるを得ないんで、でる。
「(スター寝起き訪問並みの声で)もしもし…」
「今大丈夫ですか?」
内心、大丈夫じゃねーよと思う。
ここで気遣いの相克に揺れる。
車内の人に気を使うべきか、電話をくれた人に気を使うべきか…
マナー優先。ここはひとつ
「今、電車の中なので」でかけ直しを請う段取りに持ち込む。
が、動揺した挙げ句
「今、電話中なので…」
んなことは知ってるよ級のとんちんかんな返事をして
余計うろたえてしまったりする。
…バカかな?


社内での電話の取り次ぎも入社三年のくせに
いまだに間抜けなミスをする時がある。
『石川ランド開発』という得意先があり先方は
「石川ランドです」と名乗るのだが、それがどうしても
イスカンダル」としか聞こえなくて、
しかも担当者が『佐々さん』という名前。
はじめて取り次いだときは緊張していたのも手伝って
イスカンダルのサシャさんから電話です」
スペースオペラな電話の取り次ぎになった…ヤマトよ永遠に。
受けるのがこんな調子だからかけるのもすんなり行かない。
取引先に電話をかけて開口一番
「お世話になります○○です」
あれが慣れない。
相手がいいとも悪いとも言ってないのに、いきなり
「世話になるぞ」と啖呵を切るようなあいさつ。
改めて考えると変だと思うが。
かかってきた電話での出会い頭の挨拶も
「お世話になっております」
これは美しいと思うが、なんとも条件反射のようなことになっていて、
あるべき場所で使わないと妙なことになるときもある。
かつて落とした財布が届けられているからという連絡を受けたとき
先方「もしもし○○さんですか?こちら綾瀬警察です」
ぼく「いつもお世話になっております」
ぼくに前科はない。
無意識はいけない。ことには冷静にあたりたいものだ。


考えてみれば社会人になってからお世話になってばかりいることになるが、
本当に世話をしてやってるヤツからは「お世話になります」が聞かれない。
え、どうなのよ?居候様よ?