どんなときも

富士の裾野の居候。ブログはこんな ここをクリック - 「シャンとしなさい」いつもよりことばにやさしさを感じた気がした。 伊勢屋で昼食を摂っていると、めずらしく吉永さんが暖簾をくぐってきた。 「あれ、一人?ここいい?」対面の席を指す。 「あ、どうぞ…

さよなら人類

旅烏居候のブログは元気 ここをクリック - 二日酔いというものをはじめて味わった。 なるほど大きな音は頭の中にガンガン共鳴するし、満員電車でのつけすぎの 香水などには平素にも増してえづきをおぼえる。 なにか喉から鳩尾あたりまで、拒絶反応を起こして…

もしもピアノが弾けたなら

居候の様子はブログで知れる ここをクリック - 一人旅を決め込んで、居候はしばらく帰るつもりはないようだ。 初夏の声が聞こえるか否かという頃に日中のエアコン使用を禁じたわけだが 文句を言いながらも従ってきた居候だった。今夏最高に並ぶ猛暑を 記録し…

世界は二人のために

居候のブログは新情報 ここをクリック - 4つ上の先輩の黒坂さんは今年4月の交際宣言から、 瞬く間もない5月の仏滅に式を挙げた。 あまりの迅速行動に、すわ「できちゃった婚」かと噂された。 無理もない。相手は5月に16歳になったばかりだった。 式の前日ま…

野生の風

居候のブログはこんな ここをクリック - 「家を空ける 滋養のある食物を冷凍してある」 居候はしばしば隠遁する。 土曜日も休日出勤から帰ると書き置きを残して居候は姿をくらましていた。 逗留期間を限定していないところを見ると2〜3日は帰らないつもりか…

夢の途中

居候のブログはこんな ここをクリック - ユマは二十歳だという。 ここのところ居候がぼくの様子を非常に気にしているのは感じていた。 甚だしい暑さに少々まいっていたのも事実だが、それ以上に一昨日の ハゲ会談の一件がこたえていた。その模様の逐一は伝え…

プルシアンブルーの肖像

居候のブログはこんな ここをクリック - 「今日、ちょっといいかな?」喜結目さんに昨日の午後、声をかけられた。 何用かと問うと後で話すと言って要領を得ない。昨日は出がけに居候に 「本物の煮豚を食わせてやる」と寄り道を禁じられていたので少し迷った…

熱き心に

居候のブログはこんな ここをクリック - 月曜から台湾へ出張中の山田だ。 あおりを食らって週明けから鼻血も出ないくらい忙しい。 あんな奴でもいなくなると痛手が大きい。 なにが困るといって他人のPCを使うことくらい面倒なことはないものだが こと山田の…

アカシヤの雨が止む時

昨日の夕方からひどい雨にたたられている。 一番すごかったのは電車の窓にポツポツと来たかなと思ったら 滝の裏を行ったみたいに土砂降り水浸し…と思ったら 一駅の間で雷雲みたいなのを通過してカラリといい天気に逆戻り。 つまり雨の境に入って、出たのであ…

君が、嘘を、ついた

充実した毎日だ。 仕事はすべて順調、取引先の評価も案件を重ねるごとに高まり ぼくとでなければ仕事は出来ないとまで言わしめている。 成績は鰻登り、社内の評価も抜群で来期には史上初の 20代での部長昇格の噂が流れている。 プライベートライフも満帆の状…

素直にI'm Sorry

中学英語の参考書にくびっぴきな最近の山田である。 なにを思って向学心に目覚めたのか尋ねると、例のナンシー嬢のところに あの一件以来しばしば行くのだそうだが、どうもそこで一計を案じたらしい。 「かわいいんだよ、片言のことばって」 流暢ではない会…

私がオバさんになっても

居候はブログにこんなことを書いている ここをクリック - 人は変化する。子どもは大人になるし、非行を更正したりもする。 ひどいときは性別まで変わったりする。 「おばさんというのはいくつからなんだ?」居候が問う。 究極の命題ともいえる問いだ。うかつ…

クロスロード

昨日のブログだが居候はこんなことを書いている ここをクリック - 盆の入りに故郷で同窓会があるとのハガキが届いた。 サイトーの一件があったばかりで故郷がらみの巡り合わせだ。 会いに行くべきだろうか。あちこちからいろいろな話を聞いてるうちに サイト…

遠く遠く

今年何度めかの真夏日を記録した土曜日、サイトーが訪ねてきた。 サイトーというのは、今では誰も取り立てて気にも留めなくなったが、 ぼくのアタマをトーテムポールのようなスタイルに仕立て上げた 自称ヘアデザイナーであり、高校の同窓生である。 同窓生…

世界中の誰よりきっと

居候はこんなことを書いている ここをクリック - 「お前は絵に描いた餅なんだからさぁ」 しつこく飲みに誘うのを断るのに疲れて黙っていると、隣の席の山田が言った。 「は?」僕は眉をひそめた。絵に描いた餅…? 「なんての?いるだけでいいっていうか、意…

スターダスト・メモリー

今日の居候のブログはこんな ここをクリック - 目に映るもの片っ端から文句をつけて、居候は朝から不機嫌だった。 ぼくはさっさと床についてしまって知らなかったが、居候は明け方まで スペースシャトルの打ち上げの模様を見守ってたらしい。 報道によれば今…

待つわ

タイミングを逃し、遅い昼飯になった。 タイムテーブル的には時間がずれてしまったが、一丁先の伊勢屋は 昼時過ぎると俄然サービスが良くなるので期待していた。 ここのところ食欲がある。言い方がヘンだがきちんと腹が減る。 居候の食いたくなくても食え政…

WAKU WAKU させて

居候のブログはこんな ここをクリック 午後の仕事に取りかかろうと席に着いたとき携帯が鳴った。 見ると覚えのない番号を表示している。誰だったか…と思案を巡らしているうちに 応答メッセージに切り替わってしまった。 声を聴いたら誰彼も思い当たろうと、…

Tomorrow Never Knows

居候はブログにこんなことを書いている ここをクリック もっとも古いと思われる記憶はなにか?と尋ねられた。 居候は産道と思われる窮屈な道筋を抜けようともがいて、見上げた先に 産婆が手を広げて待ちかまえている様子がもっとも古い記憶だという。 …うそ…

そして僕は途方に暮れる

夏休みも始まったばかりだというのに、弟はもう向こうに戻るらしい。 今年から姉妹校親善ということでミネソタのなんとか高校に交換留学している。 その弟が先週末帰省するというメールを父親からもらっていたが、 どうも明日には発つというのだ。 サラリー…

部屋とYシャツと私

クールビズが励行されて初めてその効果が発揮された今日だった。 東京は今週アタマから土砂降りを含んだぐずついた空模様続きで 気温も日中で20度前後という、過ごしやすいというより 肌寒い日が続いており、ジャケットが手放せないくらいだった。 暑ければ…

カルアミルク

ここのところ隣の席の山田がしきりにぼくを飲みに誘う。 まれにお酒の席の雰囲気がすきとか居酒屋の酒肴が食べたいからといって 飲めもしないのに飲み会に参加する娘がいるが、ぼくは全くと言っていいほど 飲めないし、脂っこい料理の多い居酒屋のメニューを…

ベストセラーサマー

居候はこう言う 日増しに暑さで不快が募るここのところ。 ぼくなどは元来極端な温度差がきらいな質だから暑い、寒いは我慢できない。 というかもう、その兆しを肌で感じた時点ですべてを投げ出したい心境になる。 居候はというと。寒いのはお気に召さなかっ…

氷の世界

課長のことでなんとなく流して過ごしていたが、地獄の冷房規制が 金曜から始まっている。 が、金曜は皆なにか取り憑かれたように仕事に没頭し、課の者らほとんどが 6時半には退社するという区役所のような行状で一日を速やかにやり過ごしたので それほど辛酸…

夏色のナンシー

課長が復帰した。 本来なら水曜には退院していたはずなのだが、 大事をとって昨日まで休みとしていたようだ。 大事というのがなんなんだかわからないが、普通なら 金曜出て土日また休むなんて日取りにはしないだろうに。 ついでに休むみたいなことが許せなか…

白熱(デッドヒート)

「大変なことになった」オフィスに戻るなり韮崎さんは呻くように漏らした。 「?」ぼくも隣の席の山田も注目した。 走ってきたのか、韮崎さんは大きく肩で息をしながらあえぐように言った。 「冷房が規制されるらしい」 「え?」ぼくらは眉をひそめた。 韮崎…

素敵なバーディー

「20歳前後に聴いていた音楽を、人は一生聴き続ける」 かつてFMで流れていたCMのコピーだ。企業や商品は忘れた。 コピー特有の、根拠があるんだかないんだか分からないけれど 文切り型にビシッと言い切られてしまうと、ああそうなのかと納得してしまう。 自…

ライク・ア・バージン

ひとは生まれながらに不幸を背負うこともある。 営業事務で派遣されている女性が課にいる。 隣の席の山田などはセクハラすれすれに熱い眼差しを注ぎながら 「いい女だよな」をしきりに連発する。 確かに。ぼくもそれを厭わない。いわゆる美人というものだろ…

夏をあきらめて

土曜日、関東地方はのきなみ30度超を記録する真夏日となった。 ぼくは前日残業のため終電を逃し、隣の席の山田とオフィスに泊まった。 翌日は特に休日出勤する必要もなかったし、先に述べたような うだる陽気だったことも手伝って、空調の効いたオフィスから…

ミスター

隣の席の山田は同期入社の最後のひとりだ。 2年浪人して2年留年しているのでぼくよりもグッと年上だ。 酒グセが悪い。山田はタチの悪い酒飲みだ。 とはいえ課長のそれとは違ってシモには走らず、なんというか 自滅型とでもいうようなハレの酒飲みだ。 決して…